「離婚は避けたい…」と思ったら。行政書士に相談できることと、その役割
「離婚したい」と相手に言われたとき、あるいは夫婦関係の修復を諦めきれないとき、「誰に相談すればいいんだろう…」と悩んでしまう方は多いのではないでしょうか。
「弁護士さんに相談するのは、もう裁判になる前提みたいで気が引ける…」
そう感じる方もいるかもしれませんね。実は、そんなときに頼りになるのが「行政書士」です。
この記事では、「離婚回避」という視点から、行政書士がどのような役割を担い、どのようなことを相談できるのかを、わかりやすく解説します。
そもそも「離婚回避」を行政書士に相談できるの?
行政書士は、法律に関する書類作成の専門家です。弁護士のように代理人として相手と交渉したり、裁判所で手続きを行ったりすることはできません。そのため、直接的な夫婦の仲介や、感情的なカウンセリングを行うことは業務範囲外となります。
では、なぜ離婚回避について行政書士に相談する意味があるのでしょうか?
それは、行政書士が「法律の専門家」として、夫婦関係の再構築に向けた「具体的なステップ」を書類作成という形でサポートできるからです。
離婚回避のために行政書士に相談できる3つのこと
行政書士は、直接的な「離婚回避」の相談には応じられませんが、夫婦関係を立て直すための土台作りについて、以下のようなサポートをしてくれます。
1. 夫婦の約束事を「公正証書」にするサポート
夫婦で「これから夫婦関係を修復していくために、こんなことを約束しよう」と話し合い、合意した内容を行政書士に相談することができます。
例えば、
「今後は毎月〇万円の生活費を渡す」
「不倫相手との関係を完全に断ち、二度と連絡を取らない」
「別居中の生活費(婚姻費用)を毎月〇万円支払う」
このような「約束事」を、**法的な効力を持つ「公正証書」**として作成するサポートをしてもらうことが可能です。口約束では「言った、言わない」の水掛け論になりがちですが、公正証書にしておけば、万が一約束が破られた場合にも、法的な証明として役立ちます。
2. 「離婚届不受理申出」の書類作成
相手から一方的に「離婚届を出す」と言われていて、まだ離婚の意思がない場合、「離婚届不受理申出」を役所に提出することで、勝手に離婚届が出されるのを防ぐことができます。
この手続きはご自身でも可能ですが、行政書士に相談することで、必要な書類や手続きの方法について、正確なアドバイスをもらうことができます。
3. 離婚を前提としない「合意書」の作成
夫婦で話し合った結果、まずは冷却期間として別居をすることになった場合など、「離婚はしないけれど、当面のルールを決めたい」というケースもあるでしょう。
そんなとき、**「別居合意書」や「夫婦関係円満調整合意書」**といった書類の作成を行政書士に依頼できます。
ここに、別居中の生活費(婚姻費用)の分担や、子供との面会交流の頻度などを明記しておくことで、将来的なトラブルを防ぐことができます。これは、離婚を回避し、将来の再構築を前提とした、健全な夫婦関係を築くための第一歩となるでしょう。
弁護士との役割の違いを理解しておく
行政書士が離婚回避に関して書類作成という形でサポートしてくれる一方で、以下のような相談は弁護士にしかできません。
相手との交渉の代理
離婚調停や裁判の代理
慰謝料や財産分与などの金額交渉についての具体的なアドバイス
もし、夫婦間で話し合いができない状態だったり、すでに法的紛争に発展している場合は、弁護士に相談すべきケースといえます。
まとめ|行政書士は「未来への道筋を立てるパートナー」
「離婚回避」を行政書士に相談することは、直接的な夫婦間の仲介を求めることではありません。
しかし、夫婦で話し合って決めた「これからどうしていくか」という約束事を、法的に有効な形で明確にし、未来への道筋を立てる上で、行政書士は非常に重要な役割を果たしてくれます。
もし、今夫婦関係で悩んでいて、どうにか修復したいと願っているなら、「書類の専門家」である行政書士に一度相談してみるのも一つの手です。きっと、あなたが前向きに動き出すための、力強いサポートをしてくれるはずです。